アルファベット株、1日で12.6%安。時価総額5,000億ドルが消えた日

2026年7-9月期の資金調達の内訳

決算の中身は昨日書いた。今日は、その決算を受けた木曜の通常取引の話だ。

アルファベットのクラスA株(GOOGL)は283.82ドルで終わった。前日の324.89ドルから12.6%安。ロイターは場中、1日の下落率として過去最大のペースで、時価総額5,000億ドルを超える消失の勢いだと伝えた。終値でも過去最大の下落率になった。52週高値の408.61ドルからは、3割下げた水準だ。

その日のS&P500は0.3%安、ナスダックは1.4%安にとどまり、多くの銘柄はむしろ上がっていた。指数を引っ張り下げたのは、この1社だった。売買も膨らみ、クラスC株の出来高は9,260万株と前日の3,540万株から大きく増えた。

売りが増幅した理由は3つある

1つ目は、主力の広告が予想に届かなかったことだ。クラウドは2倍に伸びて予想も上回った。でも検索は634億ドルで予想の649億ドルに届かず、YouTube広告も予想を下回った。売上の柱の側が外した決算は、評価のされ方が違う。消費者向けAIエージェントが、広告に支えられた検索の仕組みから購買行動を奪っていく競争圧力の表れだ、というアナリストの見方も出た。

2つ目は、請求書の見通しが下がらなかったことだ。通年の設備投資の見込みは1,950億から2,050億ドルに据え置かれた。市場予想の2,022億ドルとほぼ同じで、減速のサインは出なかった。昨日の記事で書いたとおり、1月から9月の使用分を引くと、10月から12月だけで630億から730億ドルを使う計算が残る。さらに今回の開示では、リース契約や購入契約に伴う将来の支払い義務が1兆ドルを超えていることも示された。設備投資の数字は、約束した支払い全体の水上の部分にすぎない。

3つ目が、今回いちばん効いたと私は見ている。会社の「払い方」が変わったことだ。

自社株買いゼロ、調達411億ドル

7月から9月の3か月間、アルファベットの自社株買いはゼロだった。前年同期は115億ドル買い戻していた。

代わりに、会社は外から金を集めた。市場で株式を売る仕組み(ATMプログラム)でクラスA株43億ドル、クラスC株81億ドル。社債で287億ドル。合計411億ドルを、この四半期だけで調達した。上の図がその内訳だ。

長期債務は昨年末の465億ドルから、9月末には1,251億ドルに増えた。1月から9月の累計で見ると、株式と社債などによる外部調達は約1,420億ドルという集計もある。同期間の設備投資1,320億ドルを上回る。

稼いで、自社株買いで株主に返してきた会社が、市場から集めてAIに注ぎ込む会社に変わった。12.6%という数字は、その転換に市場が付け直した値札だと読むのがいちばん素直だ。株価が嫌ったのは、決算の1四半期の出来よりも、この新しい姿の方だった。

ただし、反論の材料も同じ資料にある

現金と有価証券は2,651億ドル残っている。過去12か月のフリーキャッシュフローは、まだ197億ドルのプラスだ。クラウドの利益率は36.2%まで上がり、自社半導体TPUの販売比率が高まって2027年も高成長が続く、というアナリストの評価もある。会社の体力が壊れた話ではない。壊れたのは、払い方への信頼の置き方だ。

7月の第2四半期決算でも、フリーキャッシュフローのマイナス転落と設備投資の上方修正で、株価は7%下げた。その時は数日で戻す場面もあった。今回は下落率が過去最大で、下げの理由に「増資と債務の増加」がはっきり加わっている。売上が伸びている限り巨額投資は評価する、という市場との暗黙の了解は、もう前の形では戻ってこない。

自分は次にここを見る

指数を通じて持つ側として、昨日挙げた3つ(10-12月の設備投資の着地、クラウドの利益率、検索の2桁成長)に、もう1つ足す。調達の姿だ。

株式を売る枠は、まだ276億ドル残っている。会社は必要なら株を売り続けられる態勢にある。次回の決算で見るのは、自社株買いが戻ってくるかどうかだ。買い戻しが再開されれば、会社自身が「調達は一巡した」と判断したサインになる。逆に調達が続けば、この株価の水準が新しい前提になる。

今夜の米国市場では、283ドル台で下げ止まるかどうかと、アマゾンの決算を受けたAI関連株全体の動きを確認する。請求書の比べっこは、まだ終わっていない。

※免責:この記事はアルファベット(GOOGL/GOOG)に関する情報提供を目的としたもので、投資の勧誘や売買の推奨ではありません。株価と下落率は2026年10月29日(米国時間)の通常取引の終値に基づき、資金調達・債務・将来の支払い義務などの数値は同社の決算開示とロイター等の報道に基づいています。将来の業績や株価を保証するものではありません。投資の最終判断はご自身の責任で行ってください。