
10月28日の引け後に出たアルファベット(Google)の7-9月期決算は、同じ紙の中に2つの決算が入っていた。営業利益は30%増えた。EPSは26%減った。どちらも本当だ。
まず全体像
売上は1,276億ドルで前年同期比25%増、過去最高を更新した。2桁の増収は13四半期連続になる。ただし、LSEGが集計した市場予想の1,282億ドルには6億ドルほど届かなかった。
営業利益は406億ドルで30%増えた。営業利益率は30.5%から31.8%に上がっている。本業の稼ぎそのものは、むしろ強くなった。
ところが純利益は262億ドルで25%減、EPSは2.12ドルで26%減った。予想の3.02ドルを大きく割り、売上とEPSの両方で予想を外すのは約4年ぶりだと米メディアは伝えている。割れたのはここから下の行だ。
本業は文句なしに強い
クラウドは307億ドルで、前年同期の2倍(103%増)。市場予想の292億ドル前後も上回った。営業利益は111億ドルで前年の3倍を超え、利益率は23.7%から36.2%に跳ねた。伸び率は第2四半期の82%から加速している。自社半導体のTPUの販売も売上を押し上げた。
検索は634億ドルで12%増えた。ピチャイCEOは、検索クエリの伸び率が過去5年で最高だったと述べた。AIが検索を食うという心配は、少なくともこの四半期の数字には出ていない。
柔らかかったのはYouTube広告だ。112億ドルで9%増えたが、予想の114億ドルには届かなかった。サブスクリプション等は143億ドルで11%増えている。
EPSを割った要因は2つある
1つ目は、営業外の評価損だ。保有株式の評価損87億ドルを計上した。中心はSpaceXへの出資の未実現損失だと、決算説明の要約は伝えている。前年同期は逆に107億ドルの評価益があった。保有株の含み損益だけで、前年と比べて約194億ドル振れた計算になる。会社の集計では、この評価損がEPSを0.55ドル押し下げた。
ただ、正直に書くと、評価損だけのせいにはできない。評価損の影響を除いた調整後のEPSは2.67ドルと伝わっていて、それでも予想の3.02ドルには届いていない。売上が予想に6億ドル届かなかったことと、費用の増え方が重なった。評価損は一過性で片付けると、読み違える。
2つ目が本題の請求書だ。設備投資は514億ドルで、前年同期の2.1倍。稼いだ営業キャッシュフロー423億ドルを上回った。結果として、フリーキャッシュフローは91億ドルのマイナスになり、第2四半期に続いて2四半期連続の赤字になった。
通年の設備投資の見込みは1,950億から2,050億ドルに置かれている。1月から9月までで約1,320億ドルを使った。単純な引き算をすると、10月から12月だけで630億から730億ドルを使う計算になる。今年最大の四半期投資は、まだこれから来る。CFOは電話会見で、2027年の設備投資は大幅に増えるとも言った。
マイクロソフトと並べると、市場の物差しが見える
今朝も書いたとおり、同じ日に出たマイクロソフトは、Azureが48%増えて、設備投資は予想より小さく、株価は時間外で上がった。アルファベットはクラウドが103%増えても、株価は時間外で大きく売られた。報道では7%から9%安の水準で、一時11%を超える下げの場面もあった。
市場が見ているのは、クラウドの伸び率の競争じゃない。請求書の大きさと、それが利益に変わる速さだ。
その点では、クラウドの利益率が36.2%まで上がった事実も同じ紙に書いてある。請求書は確かに膨らんでいる。同時に、払った分は利益率の高い売上に変わり始めている。どちらの行を先に読むかで、この決算の評価は真っ二つに割れる。タイトルどおりの決算だった。
自分は次にここを見る
Googleは配当を出す会社だが、私の配当の物差しで測る相手じゃない。S&P500やナスダックの指数を通じて持っている側の会社だ。だから見る点は3つに絞る。
1つ目は、10月から12月の設備投資の着地だ。引き算どおりの規模になるなら、フリーキャッシュフローは3四半期連続のマイナスになる。
2つ目は、クラウドの利益率が30%台の後半を保てるかどうか。ここが保てる間は、請求書は先行投資の顔を続ける。
3つ目は、検索の2桁成長が続くか。クエリの伸びが5年で最高という言葉が、次の四半期も数字で続くかどうかだ。
今夜はアマゾンの決算が出る。AWSの伸び率と設備投資の額を、Googleと同じ物差しで並べて見るつもりだ。請求書の比べっこが、この決算シーズンの本題になっている。
※免責:この記事はアルファベット(GOOGL/GOOG)に関する情報提供を目的としたもので、投資の勧誘や売買の推奨ではありません。数値は同社が2026年10月28日に発表した決算資料と、LSEG等の市場予想の集計、決算説明会見の報道に基づいています。市場予想は集計機関により異なる場合があります。将来の業績や株価を保証するものではありません。投資の最終判断はご自身の責任で行ってください。